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東北大学大学院歯学研究科

助教、博士(医学)、医師

坪谷 透 先生

地域医療における研究

研究者こそ地方に行く

坪谷 透 先生

都市から地方へ循環する働き方-地方からの世界レベルの研究発信

私は、地域医療における研究は、学術的にも社会の要請としても、きわめて価値があることで、それは、臨床現場で働いている人こそが主体的に行うべきだと思います。大学で研究している人は、確かに研究そのものは得意かもしれませんが、地域医療の実情・課題を適切に捉えることは難しいでしょう。私は、研究でもっとも大切なことは、適切な課題・仮説の設定であること考えています。方法論(分析方法)は標準的なものができれば十分です。地域医療の最前線で、フルタイムで働く人は、適切な研究を行う能力もそのための資源もないと思う人もいるかもしれませんが、時代は大きく変わりました。確かに10年くらい前までは、実験研究だけではなく、臨床疫学研究も、ほぼ大学でしか行えなかったといってもいいと思います。しかし現在は、一流臨床雑誌に掲載される研究も、そのために必要な最先端の勉強も、山奥でも離島でも、インターネットさえつながれば、いつでも、どこでも、誰でも、無料で利用可能です。かつては、統計分析できるコンピューターが大学にしかありませんでしたが、現在では、個人のノートパソコンで統計解析が可能です。臨床研究含めて多くの最先端の学問・方法論の勉強は、インターネットで可能です。大学・大学院の授業も遠隔で受けられるものもあります。家庭医や総合医の医師は、現場の自分たちの臨床を舞台に研究ができます。医師だけでなく現場の看護師さんたちが抱える“痛みや排便のコントロールはこれでいいのか”のような日々の日常診療における解決を待っているクリニカルクエスチョンは多数あります。それらが適切に解決されないことは、働く意欲を阻害するかもしれません。

臨床研究で発表することで普段の臨床をきちんと表現でき、他施設のスタッフと意見交換するだけでも、仕事のモチベーションがあがると私は思います。私の大学教員としての役割は、研究者として新しい知見を広げ、また学生を教育することももちろん重要ですが、上述したような、すでに利用可能なすばらしい資源があっても最前線の現場のスタッフがうまく利用できていないこのギャップを埋めることも重要な役割であると信じています。またそれを通じて、地域医療の最前線を支えているスタッフで、自己肯定感を持てていないスタッフを勇気付けることができたらと思っています。地域医療には社会的医学的な課題がたくさんあり、その解決が求められています。私は、現場から、その解決策を、世界・日本の中枢へ提案することはとても楽しいと思います。また、地方では、それに取り組む人も少なく、特に若い熱意のある人には大きなチャンスであると感じています。

坪谷 透 先生

地方で研究をすると見えるもの

登米市では、TOMED(とめど)という地域包括ケア体制構築のための地域研究活動を行っています。TOMEDでは外部講師を招き、市民講座を定期的に行っています。並行して、市と協定を結び地域包括ケアを推進するための市民調査を行い、いくつかの興味深い結果を得ています。例えば、特に若い世代に多いのですが、在宅診療の普及を望んでいない、という結果が得られています。これは厚労省が現在進めている政策とはまったくの反対を向いている”不都合な事実”かもしれません。そのようなことも、大学だけにいると気づくことは難しいでしょう。大学などの大きな組織と違って、地方では、自らが主体となって学び、活動し、さまざまな主体に働きかけることができます。 “やまと”では、他の医師の疫学研究のお手伝いもしています。仙台から登米に行くことでそのような価値も生み出していると思います。私はこれからも、地方で、臨床・研究を軸にした、地域を盛り上げる活動を楽しく行っていきたいです。この理念に共感して一緒に主体的に楽しんでくれる仲間を募集中です~。

関連文献)
坪谷がボストン在住中に、地方急性期病院にフルタイムで勤務する友人(山崎氏)と、(直接会うことなく)スカイプとメールのやり取りのみで、研究デザインの設定から、学会発表・論文出版まで行った論文2報。どちらも米国糖尿病学会のDiabetes Careに掲載され、また欧州肝臓学会での学会発表ではハイライトセッションにも選出された。山崎氏はこの経験から臨床研究に強い興味を持ち、その後、京都大学大学院に進学し、現在臨床疫学研究に従事している。

Lack of Independent Association Between Fatty Pancreas and Incidence of Type 2 Diabetes: 5-Year Japanese Cohort Study.
Yamazaki H, Tsuboya T, Katanuma A, Kodama Y, Tauchi S, Dohke M, Maguchi H.
Diabetes Care. 2016 Oct;39(10):1677-83. doi: 10.2337/dc16-0074. Epub 2016 Jul 15.
PMID: 27422578

Independent Association Between Improvement of Nonalcoholic Fatty Liver Disease and Reduced Incidence of Type 2 Diabetes.
Yamazaki H, Tsuboya T, Tsuji K, Dohke M, Maguchi H.
Diabetes Care. 2015 Sep;38(9):1673-9. doi: 10.2337/dc15-0140. Epub 2015 Jul 8.
PMID: 26156527

PROFILE

坪谷 透 先生

東北大学大学院歯学研究科

助教、博士(医学)、医師

坪谷 透 先生

新潟県三条市出身。東北大学医学部卒業後、手稲渓仁会病院にて内科研修。東北大学大学院修了(博士(医学))し、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野 研究助教。