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代表者メッセージ

志を地域医療の力に変える

やまとプロジェクトを構想したきっかけは、東日本大震災の医療ボランティアで東京と東北を循環するなかで、復旧・復興が進むにつれあらわになった「医師不足地域の現実」を目の当たりにしたことでした。

地方には、医師として大きなやりがいや使命感を感じながら、そこに暮らす人々に役立つことができる仕事がたくさんあります。しかし、自身の研鑽や研修、キャリアアップ、家族の教育や家族との時間などを考え、多くの医師が地方に貢献することを断念しているのも事実です。地元医師の孤軍奮闘や誰かの自己犠牲で医療が支えられている地域が少なくないことを痛切に感じていました。

この解消のために行政も地方勤務や移住にインセンティブを設けるなどの取り組みをしていますが、今もなお充分な効果が見られるとはいえない状況です。地方に限らず、高齢化や労働人口減少、医師偏在など難しい問題に直面している日本の各地域医療を持続可能なものにしていくためには経済的なインセンティブだけでは難しく、もっと医師の働き方やキャリア、ひいては生き方について踏み込んで考える必要があると考えています。

やまとプロジェクト代表:田上佑輔

そのような背景のもと本プロジェクトでは、医師がもっと自分の人生を大切にしながら地方や地域で躍動できる舞台を作るため、日々様々な試行錯誤を続けています。

  • 移住等をしなくても、医師が責任をもって地域医療に取り組めるチーム、インフラづくり
  • 医師がより診療に集中することができる体制づくり
  • 医師がキャリアビジョンを描いたり、スキルアップができる環境づくり
  • 医師が診療の枠を超えて地域に深く貢献できる機会、ネットワークづくりなど

プロジェクトの開始から10年が経過した今、都市と地方はもちろん、大学と地域、医療機関と企業、行政など多様な空間に橋が架かり、人の活発な循環が生まれています。異質な人が混ざり合うダイナミズムに大きな価値があると考え、希望する医師には地域や医療職以外の人たちとも一緒になって教育や研究、コミュニティー作り、地域医療課題解決に取り組んでもらっています。交流を通じ、お互いの共感力や価値観が磨かれ、医師が経験から自らを解放し新しい志を見つけることもしばしばです。この舞台にみなさんが参加され、より自分らしく輝く姿によって価値が更に広く共有され、志を地域医療の力に変えてくださる方々がますます増えることを願っています。

地方と都市医師循環モデルの図

地域には、「わたしは、こう生きたい」との出会いがある