子育てと医師の両立を目指して ー 在宅医療に込める思い
子育てをしながら医師を続けることの難しさに直面
初期研修で通年での在宅診療の研修があり、そこで初めて在宅診療を経験しました。その後、第一子を出産。出産後、周囲の理解を得ながら研修を継続することの難易度が高く、子育てをしながら医師として働くことに苦しさを感じていました。『やまと』理事長の田上先生に相談したところ、働き方も含めて親身に寄り添ってくれて気持ちが楽になったのを覚えています。学生時代から在宅診療に興味を持っていたこともあり、『やまと』に転職することを決めました。
人生観にまで踏み込み、寄り添う
在宅診療で出会う患者さんは終末期にあることも多く『やまと』で働く中で、患者さん一人ひとりのこれまでの人生の歩みや、それぞれの人生観について深く考えるようになりました。人生の歩みや人生観も受け止めながら、「最期を家で過ごせて良かった」と思えるきっかけを作ったりそこまでの橋渡しをすることが在宅医療の医師の重要な役割のひとつだと感じています。そのためにも、患者さん一人ひとりに耳を傾け理解を深め、施設に入所する・しないや、延命治療の有無、最終的な療養場所などの重要な決断を「一緒にする」ことを大事にしています。病院では「決定は医師にお任せ」というのが少なくない中で、在宅医療ならではのやりがいを日々感じています。
”ワンチーム”だから実現できる在宅医療
患者さん一人ひとりに徹底的に寄り添えるのは、”看護師・医療アシスタント・医師がワンチームで向き合う”という『やまと』ならではの強みがあるからこそ。主介護者の方の介護負担をどう想像するか、眠っている患者さんにどう話しかけるか…など気遣いをチームメンバーから教わることも多くあります。また、患者さんとのコミュニケーションに難しさを感じる時や難易度の高い決断をする時には、チーム全員で様々な視点から議論をすることで、患者さんファーストでより納得感の高い結論を導き出すことができます。”ワンチーム”として多様な視点を活かせるのは『やまと』らしさだと思います。
『やまと』の中に留まらず、地域の多職種の方々とも連携をとるスタイルも『やまと』らしさだと思います。訪問看護師さん、ヘルパーさん、ケアマネージャーさん達と会議などで顔を合わせた際には、担当している患者さんについての情報交換を積極的にしています。積極的に関わることで顔が見え信頼関係を築くことができ、相互に相談しやすくなり、結果的に、患者さんへのきめ細かなサポートを実現できていると思います。
医師としての目標も子育ても諦めない
病気になる・老いていくことは特別なことではなく、それを受け入れることが重要だと思います。病気になったり老いが訪れたとしても、在宅医療なら寄り添いサポートすることが可能です。私たち『やまと』が生活の支えになるから大丈夫、という安心感がより広がってほしいと思います。学生の頃から目標だった”患者さんに寄り添う医療”を『やまと』でなら叶えられると日々実感しています。医師としての目標も子育てもどちらも諦めたくない。子育て中の医師、これから子育てをしていく医師のロールモデルになっていけたら嬉しいです。