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医師一人ひとりの実現したい未来を応援する

『やまと』開業から10年

2011年の東日本大震災を契機に大学病院を離れ、2013年4月に『やまと在宅診療所登米』を開業しました。当初から理事長、院長、社長が複数いるフラットな組織を目指し、現在では『やまと』の輪は宮城県を中心に関東、四国、九州地方にまで広がり、診療所、病院、訪問看護、薬局、介護施設をグループとして運営するまでに成長しました。この発展は、地域の皆さまや同じ志を持つ仲間との繋がりによって支えられています。

2018年春、旧診療所前にて(現在は移転)

やまとで学ぶべきケースマネージメント、チームマネージメント、地域活動

在宅医療を始めた動機は「被災地のため、医師が少ない東北でできることを」という思いでしたが、振り返ると当初は在宅医療の本質を理解していなかったと感じます。実践を通じて、患者さんの病気だけでなく生活全体を支えるケースマネージメントのスキルを学び、多職種の連携が診療の質に大きく影響することを知りました。また、チームメンバーの自主性を尊重するチームマネージメントや、診療所の外で地域と関わり、地域住民として課題解決に参加することの価値も実感しました。これは、私たちが大切にしている価値観や文化の一部だと考えています。

診療風景

『やまと』があるから地域医療に挑戦したい

『やまと』の循環型働き方に共鳴し、都市部から地方の地域医療に携わる医師が増えています。個人の犠牲ではなくチームで取り組むことで、「『やまと』の仲間がいるからこの地域で診療ができる」「自分もこの地域に貢献したい」といった意識の変化が生まれています。『やまと』での経験は、医師たちの生き方やキャリア、人生観にも影響を与え、「地域でこんなことをしたい」という一人一人の想いが形になることで、大きな変化が生まれます。この流れをさらに広げていくことが私の目標です。

医師一人ひとりの志を地域医療の力に

近年、自分のキャリアに課題を感じる医師が増えていると感じます。国試から研修医、専攻医を経て専門医を取得した後、「本当に自分がやりたかったことは何か」を改めて考える人も多くいます。私も被災地に行く前は同じ悩みを抱えていましたが、自分の背中を押してくれた人たちがいたおかげで今があります。このバトンを次世代に渡していきたいと思い、仲間と共に、キャリア形成に悩む医師を支援する活動をしています。プロジェクト「NANIMON」では、メンタリングやワークを通じて、一人ひとりが自身の志を自覚し、一歩を踏み出せるよう伴走しています。『やまと』でも、医師が「実現したい想い」を形にできるよう応援しており、医療の枠を越えて活躍する医師も増えています。今後はこの取り組みを学生にも広げ、各自が「実現したい未来」に向けて選択できる社会を目指しています。

NANIMONでの活動

地域とともに成長できる環境

2023年、『やまと』は設立から10周年を迎え、新たな区切りを感じました。これまでの10年が0から1を立ち上げる期間であったとすれば、これからは1から10に基礎を固める段階です。診療やチーム作り、地域活動を通じ、10年間の学びと変化で得た原理原則を新しい仲間と共有し、発展させることが自分の使命だと感じています。多くの医師が自律的に成長し、熱意を持って医療に専念できる環境を提供することで、日本全体を医療面からより良くしていくことが、私の現在の目標です。