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治療だけでなく人生の幸せを考える – 在宅診療ならではのやりがい

医師として働く傍ら患者向け動画制作にも挑戦

『やまと』に入職する前は大学病院の循環器内科にて診療していました。当時、医師から患者さんに病状や今後の治療方針などを説明する際、わかりやすく効果的に伝えることに課題を感じていました。そこで、医師として診療する傍ら、患者さん向けの3DCG説明動画の製作を開始。動画制作や営業活動を経験していくなかで、この取り組みを『やまと』が運営する「coFFee doctors」で取材していただき、『やまと』と出会いました。どこかのタイミングでこの動画制作の会社に専念しないと始まらないな…と思っていた矢先、『やまと』理事長の田上先生にお声がけいただき、非常勤として働くことになりました。毎週水曜日は宮城県の登米院、毎週木曜日は神奈川県の武蔵小杉院、他の曜日は自分の会社の仕事にチャレンジ。その後、常勤医となり2020年から武蔵小杉院の院長として診療とマネジメントに携わっています。

つい数年前には在宅診療に興味がなかったですし、私が『やまと』に入職したきっかけは本当に偶然の積み重ねでした。そこから流れるように院長に就任し現在に至ります。『やまと』のスタッフは皆ストーリーがあって入職し、同じバスに乗っていると思うと運命というのは面白い物だなと感じます。

在宅診療とは治療だけでなく、人生を全面的サポートすること

病院で働いているときは心臓病を主に診療しており、それ以外の疾患は他の先生に依頼することが一般的でした。『やまと』で在宅診療を行うようになったなかで、「人を診る」という診療スタイルになったことは大きな変化でした。
在宅診療の患者さんは、医療以外の部分で困っている方も多くいらっしゃいます。病気の治療だけでなく、医療以外の部分を一緒に解決し生活を支えていくことが、地域医療における在宅診療の役割だと日々感じています。患者さん一人ひとり、家族構成や人間関係、それぞれが抱えている課題は大きく異なります。患者さん個人だけではなく、周辺にいる方たちの協力をなくしては解決できないことが多く、そういった時には訪問看護師さん、ケアマネージャーを中心としたヘルパーさん、介護スタッフ、場合によっては薬局や行政が力を合わせて試行錯誤しながらサポートしています。

私の仕事は、「いかに患者さんとご家族がこの先の最期までの人生を、幸せに過ごせるのか?」を考えること。日々診療をするなかで近しいケースがあったとしても、細かくみると全く違うこともよくあります。目の前の人の幸せを考える仕事だと考えると、病気を治す医療と違うやりがいを感じることができました。毎日が同じルーティンにはならないので大変な面もありますが、在宅診療だからこそ経験できるやりがいのある仕事だと思っています。

MBAや小説…医療以外での目標を持ち、実行できる環境

『やまと』で働きながら夜間の大学院に通い、先日MBAを取得しました。今は次なる挑戦として、医療系小説を執筆できたら面白いなと考えています。人のお家に伺い、人生に関わることができるのは、この職業ならではだと思います。日々患者さんと接する中で、「より幸せになってほしい」という想いで向き合ってきました。小さなことでも一つ一つ幸せを積み重ねていったら、本人もご家族も周囲にいる人達にも良い影響をもたらすこともあります。そういったストーリーを少しずつでも貯めていき、いずれは人に伝えることができればと想像を膨らませています。日々の診療で疲弊しきるのではなく、人の為になっているやりがいを感じながらも、医療以外の分野で目標をもつことができるのは『やまと』だからこそだと思います。

医療法人だからこそ知れる他院の文化と良さ

『やまと』で働く良さは、他にもあります。例えば、各診療所の良いところを学び、取り入れられるところ。『やまと』は各診療所の自由度が高く、特色や文化があり、各地域の患者さんの満足度に繋がっていると感じます。武蔵小杉は看護師さんが患者さんに積極的に介入し、一緒に困り、相談しやすい雰囲気を作ってくれることが特徴で、その文化が開院以来引き継がれています。外から見ていると気づけない他院の特徴を、内側から見ることができるのは『やまと』ならではです。

また、私は患者さんの幸せだけでなく、一緒に働くスタッフの幸せも大切だと考えています。「この診療所で働けて良かった」と思ってもらいたいので、日々奮闘しています。『やまと』では診療アシスタント・看護師・医師の3人がチームとなり訪問するので、日々の些細なことでも共有し合い、コミュニケーションを取ることが必要不可欠です。車で移動する在宅診療ではスタッフと密に会話をすることができます。医師の視点が最優先になるのではなく、様々な視点を合わせてチームで医療を行うことは在宅医療の特徴で、病院とは大きく異なる点だと感じています。

今後も、自分自身のやりたいことにも挑戦しながら、患者さんとご家族、まわりのスタッフに、より良い影響を与えられるよう励んでいきたいと思います。