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やまと在宅診療所 登米 緩和ケアチーム

東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野 講師

  • 田上 恵太
  • インタビュー

大学病院×地域 安心の緩和ケア・終末期ケアのシステムづくり

緩和ケアのアウトリーチ活動

緩和ケア病棟なき地域での緩和ケア

東北地方は慢性的な医師不足で、誰もが平等に緩和ケアや終末期ケアを受けられる状態にあるとはいえません。緩和ケア病棟がある地域が限られているだけでなく、入院できるのもがんや後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者さんに限られています。

私は、地域の拠点病院内で緩和ケアを当たり前に受けられる文化をつくるとともに、在宅医療や福祉が中心になって地域の緩和ケア・終末期ケアを支えるシステムの構築をすることを試みています。愛する“地元”で、誰もが治療中から緩和ケアを受けることができ、そして最期まで自分らしく生きられる地域を作りたいと願っています。

東北大学 緩和医療学分野ではこの目標に向けて「緩和ケアを地域の文化にしたい」という医療機関と連携し、宮城県、東北地方、ひいては全国へと波及することを期待して、臨床の傍ら研究や社会活動に取り組んでいます。つまり、緩和ケアに関するアウトリーチ活動です。

アウトリーチ活動とは、専門性が求められる診療に対するスキルや知識がまだ十分ではない医療機関で、専門家が定期的に訪問して地域の医療・福祉従事者と診療を共に行いながら地域の専門性の向上を図る活動です。現在は登米市や鹿児島県の離島・徳之島、福島県会津地域において、アウトリーチしている各医局員が積極的に活動を展開しています。

登米市では「自宅や施設で安心して終末期ケアや緩和ケアを受けられるまち、登米」を合言葉に、やまと在宅診療所 登米で活動しています。この地域には、緩和ケア病棟がありません。そのため、安心して最期まで自宅や施設で暮らせるシステムづくりを進めています。

登米にできた「仲間」とともに

取り組みを進めていくにつれて、やまと在宅診療所 登米のスタッフたちの間に今の緩和ケアや終末期ケアに対する課題感が芽生えるようになりました。「自分たちはこの地域で最期を迎える。今のままの緩和ケア、高齢者ケア、そして終末期ケアで自分たちは果たして安心してこの地域で生きていけるのだろうか。だからみんなでプロジェクトを足掛かりに、地域とこれからを考えていこう」という気運が高まってきたのです。

このプロジェクトが始まってから3年目を迎えました。「石の上にも三年」と言いますが、今ではやまと在宅診療所 登米内外の多くの仲間たちと、積極的に活動できるようになってきました。

やまと在宅診療所 登米の中でとりわけ活動の大きな力になっているのが、診療アシスタントです。診療アシスタントとは、医師や看護師がスムーズに診療・看護業務を行えるようサポートするスタッフで、医療の専門資格は持っていません。だからこそ彼ら彼女らは医療・福祉従事者が忘れてしまった視点、つまり患者さん目線から提言してくれます。つい医療者目線で物事を進めがちな私たちに対して、良き気づきを与えてくれるのです。診療アシスタントが主体性を持って共に携わってくれるので、このチームは半端ない熱量をもって活動することができています。

やまと在宅診療所 登米 緩和ケアチーム

東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野 講師

田上 恵太

宮城県出身。2008年関西医科大学卒業。東北労災病院にて初期研修、消化器内科・腫瘍内科、緩和ケアチーム。国立がん研究センター中央病院緩和医療科レジデント、2014年より同センター東病院緩和医療科がん専門修練医、医員を経て、2017年4月より現職。緩和ケアアウトリーチ活動をやまと在宅診療所 登米、徳之島徳洲会病院で展開している。